「店主福地に聞く!不動産知識あれこれ」 〜タワーマンション編〜

みなさんこんにちは、タンジです^^

広報部長(以下、部長)が福地さんにインタビューを行い、不動産に関する疑問を紐解くシリーズ、「店主福地に聞く!不動産知識あれこれ」。

第3回のテーマは、「タワーマンション」です。

今回は、福地さんと広報部3人での会話をお届けします。

目次

  1. タワーマンションってどんな建物なの?
  2. 最近のタワーマンション売買動向
  3. タワーマンションのメリット・デメリット
  4. 武蔵小杉のタワマン事情
  5. タワーマンション、住んでみたい?
  6. まとめ

タワーマンションってどんな建物なの?

そもそも、タワーマンションの定義はどういったものなんでしょうか?

20階以上の住居用建物のことをタワーマンションと呼ぶのが一般的です。建築基準法では建物の高さに関する基準があるのですが、そのうち60mをこえる建物を「超高層建築物」とすることが多いんです。マンションの階数に換算するとほぼ20階に相当するため、そこがひとつのボーダーラインになってきます。

宅建などでも、その60という数字が出てきますよね。
敷地に関する制約はあるのでしょうか?

高さ制限による制約があります。高さ制限が20m以下に設定されているエリアが多いのですが、それだと6階くらいの建物しか建てられないんです。そのため、その規制が外せるような場所でないと、タワーマンションを建てることは出来ません。自治体との協議なども経て許可を得なければならないので、建てられる場所は非常に限られてくるかとは思います。

一般的なタワーマンションでは4面あると思うのですが、東西南北それぞれに正対しているのでしょうか?

しているものもあれば、そうでないところもあります。

この周辺だと、東西南北でコンセプトを分けているところもありますよ。南側はハイグレードな造りにして、東と西はファミリー向けに設計する。そして北側は1LDKにする、といった形です。

一方、今日見たコスギタワーやリエトコートは方角に対して斜めに作っていて、どの面もほぼ同じような造りになるよう建てられています。

北向きだと、やはり日当たりは悪くなってしまうのでしょうか?

直射日光は当たらなくなります。やや暗めにはなりますが、真っ暗になってしまうケースは少ないです。周囲に建物がなくて明るければ、光が当たっているところから明かりをとってくることもできますし。

北側も需要はあるのでしょうか?

ありますね。

通常北側は価格を低く設定するのですが、武蔵小杉は北側の夜景がキレイなため、そこまで大きく差をつけてないんじゃないかと思います。

また、立地によっては、南向きよりも東向きや北東のお部屋のほうが快適に過ごせることもあるそうですよ。周りに遮るものがないと、日当たりが良すぎて熱くなりすぎてしまう。南側だとその傾向が特に顕著なようです。

東西南北できっかり作ると、北向きのお部屋をつくることは避けれられません。ファミリー向けにするよりは、1LDKの間取りでつくり、利便性をアピールポイントにして売り出している印象です。仕事で日中は家にいない人向けに売り出す、という感じです。

普通のマンションだと、北向きってあまり聞かないですよね。なぜ普通のマンションでは北向きを作らないんですか?

なかなか人気が出ず、売れにくくなってしまうからです。欧米では「家具が痛まないですよ」とか「日焼けしないですよ」といったセールストークをすることもあるのですが、日本では「明るい方がいい」と考える方が多いので、北向きのお部屋の需要が少ないんです。

最近のタワーマンション売買動向

新型コロナウィルス感染拡大の影響で在宅勤務の方が増えましたが、中古タワーマンション売買の動向に影響は出たのでしょうか?

このところ、販売中の中古物件が増えている印象です。ただ、それはタワーマンション自体の数が増えているからかもしれません。一棟あたり500戸前後の住居が入っているので、売買市場に上がってくる確率も高いんです。

また、生涯の住処としてではなく、一次的な住まいとして購入される方も多いのかもしれません。

ある程度の期間住んで売却して、一戸建てや実家に移るケースが多いのでしょうか?

再開発以前の武蔵小杉だと、都内から移り住んできた方が、都内に戻られるケースが多かったですね。買ってみたものの、当時は周りが工場ばかりだったので、「やっぱり都内のほうがおもしろいなと思った」というお話もよく耳にしました。

今はどういった理由で売却される方が多いのでしょうか。

福街不動産では直接物件をお預かりしていないため、理由まではわかりません。でも、体感的には戸建てに移る方が増えているように感じます。

タワーマンションのメリット・デメリット

タワーマンションに住むメリットとデメリットをお聞きしたいです。まずはメリットから教えていただけますか?

まず挙げられるのは、立地のよさです。一般的に、タワーマンションが建てられているのは、駅から非常に近い場所であることが多いんです。

もう一つは、セキュリティ性ですね。少なくとも三重セキュリティが備えられていて、よりセキュリティ性を重視するマンションでは四重セキュリティになっているところもあります。

三重セキュリティ、四重セキュリティとはどういったものですか?

マンションのエントランスから自宅の入口に到達するまでに、3つないし4つのロックが設けられている仕組みです。

三重だと、エントランス、エレベーター、自分の家。四重だと、エントランス、エレベーターに乗る時、エレベーターを降りる時、自分の家。エントランスが二重ロックになっているようなマンションもあります。

コンシェルジュの方もいますし、安心感がありますね。

そうなんです。人の目があるというのも大きいですね。
基本的に24時間警備員の方がいるという状態なので、非常にセキュリティ性が高いと思います。

盗難の発生件数でいうと、一番多いのが一戸建て、次がマンションの1階なんです。
タワーマンションを狙った犯罪が報道されることもありますが、実際の件数でいえば、かなり少なくなってくると思います。

タワーマンションは治安もいいんですね。

そうですね。

また、共用施設が充実している点も魅力だと思います。ゲストルームやスタディルーム、キッズルーム。ラウンジもそうですね。在宅勤務になってから、こういった施設を利用してる方が多い印象です。

たくさんメリットがありますね。逆に、どんなデメリットがありますか?

戸数に対してエレベーターが少ないことですね。1分で駅に行ける立地でも、朝と夕方はエレベーターに乗るまでに10分かかるので、プラス10分は見なきゃいけない、という話も聞きます。この問題が言われるようになって久しいですが、改善されたという話は聞かないので、構造上変更するのが難しいのかもしれません。

増やし過ぎると管理費も上がるし、場所も取りますよね。

まだ歴史が浅く、将来的な修繕費用の見込みが立っていない点もひとつのデメリットだと言えるかもしれません。

日本でタワーマンションが建てられ始めてからどのくらい経つんですか?

恐らく30年程でしょうか。東神奈川のタワーマンションが、多分30年経ったかどうかくらいの築年数ですが、そこまで修繕積立金も高くありません。タワーマンションは戸数も多いので、一世帯当たりの負担がそこまで大きくならずに済むのでは、というのが個人的な見解です。

長期修繕計画ではファミリータイプでも月8万円ぐらいかかる、という試算が出ていたりもするので、何とも言えないところですが…

月8万円だと、結構負担が大きいですね。

恐らくそこまでいかないと思うんですけどね。ただ、不確定要素が多いと、どうしても多めにとることになってしまうんです。

数年前の台風のような事態もありましたからね。タワーマンションだと、できるだけ部屋数を増やすために、地下に電源を置くことが多いんです。それが結果的に、災害に弱い部分になってしまった。

物件を選ぶときのポイントになりそうですね。

見るべきポイントのひとつではあります。人生を左右する大きな買い物ですからね。あと、実は意外と音がうるさい、という話も聞きます。まわりに建物があれば、そこで道路の音がある程度ブロックされるんですが、タワーマンションだと遮るものが何もない。その分、全部の音が届いてしまうようです。窓を閉めていれば気にはならない程度のようですが。

意外です。地表から距離があるので、静かなイメージでした。

武蔵小杉のタワマン事情

今、武蔵小杉にはいくつタワーマンションがあるんですか?

恐らく、11かなと思います。

これからもまだ建つ予定なんでしょうか?

新丸子のほうに建ちますね。

すごいですね。どうして武蔵小杉はこんなにタワーマンションが増えたんでしょうか。

元々この辺りは、「工業都市」という駅があったくらい、駅の近くに工場がたくさんあったんです。それぞれしっかり広い敷地を持っていたので、非常に開発がしやすかったと思います。デベロッパーからすると、駅近にまとまった敷地の土地が買える、ということですからね。

今まで元住吉のマンションを見ていましたが、そこでも工場のような大きい敷地跡に建てられた物件が多かったですよね。でも、元住吉にタワーマンションは建っていない。用途地域の違いによる影響が大きいのでしょうか?

それもありますし、武蔵小杉のほうが建てる時の反対が少なかったのではないかと思います。

川崎市としても、武蔵小杉にタワーマンションを建てるメリットが大きかったと思いますよ。税収も増えますから。後は、街のイメージを変えたい、という思いもあったのではないかと思います。

武蔵小杉は、以前はちょっと近寄りがたい町だったんです。

私の実家は元住吉も武蔵小杉も使える場所にあったんですけど、元住吉を使うことが多かったです。もともと交通は便利だったので、電車に乗るために行くことはありましたけど。商業施設も、大きいものはイトーヨーカドーくらいしかなくて、夜になると真っ暗で本当に怖かったんですよね。こういったイメージを払拭したい、というのも開発を後押ししたのではないかと思います。

川崎市には工場や社宅だった土地が全体的に多いと思うのですが、武蔵小杉に特にタワーマンションが集中しているイメージなので、なぜなんだろうと思っていたんです。そういう理由があったんですね。

まとまった土地があり、用途地域が商業地域で高い建物が立てやすく、反対が少ないエリアである、というプラスの要因が重なっていたのは大きかったでしょうね。

確かに、元住吉駅周辺だったら、多数の反対がありそうですね。
武蔵小杉以外でも、今後タワーマンションは増えていきそうですか?

かつての武蔵小杉のように、建てやすい場所があれば増えていくと思います。
デベロッパも行政も、建てられるなら建てたいんですよね。どちらにとってもメリットがありますから。

このエリアのタワーマンションにはファミリー層が多いような気がするのですが、子育てしやすい環境なのでしょうか?

確かに多いですね。徐々に環境が整えられてきた印象です。当初は既存の小学校にいきなりたくさんの児童が入ってしまったので、校舎増設で対応したこともあったようですよ。

同じタワーマンションの中に、同級生が何人もいる状況だったのかもしれないですね。

インフラを整える前にたくさん建ててしまい、様々な問題が起きたのは事実です。ですが、徐々に状況はよくなっていくと思います。住民の方が声をあげれば、政治家の方も目を向けてくれますからね。

タワーマンション、住んでみたい?

みなさんはタワーマンションに住みたいですか?

今日見に行って、住みたいなと思いました。買いたいというよりは、賃貸で借りて住んでみたいです。

自分が高齢になった時、タワーマンションだと住み続けるのが難しいのかな、という思いがあります。バリアフリー対応のところもあるんでしょうけど、車いすだと大変でしょうし…実家近くに団地があって、そこがどんどん高齢化していて「どうするの?」って話にもなっているんです。そういう様子を見ていると、高齢化に耐えられるかが心配だな、と考えてしまいます。

施設や環境を見ると、正直憧れます。でも、私は超がつくほど高所恐怖症なので、住むとしても低層階になりそうです。

まとめ

・タワーマンションは、

一般的に60mを超える、階数にして20階以上に相当する住居用建物のことをいう。

・タワーマンションには、

立地のよさ、セキュリティ性の高さ、施設が充実しているといったメリットがある。一方で、戸数に対してエレベーターが少ない、将来的な修繕費用が不透明であるといったデメリットもある。

・武蔵小杉にタワーマンションが多く建てられたのは、

まとまった土地があった、用途地域が商業地域で高い建物が立てやすかった、建設に当たっての反対が少なかった、街のイメージを変えたいという行政側の思い

といった要因が重なったためではないかと思われる。