「店主福地に聞く!不動産知識あれこれ」 〜査定編〜

みなさんこんにちは、タンジです^^

今回から、新シリーズ「店主福地に聞く!不動産知識あれこれ」をスタートします!

このシリーズでは、広報部長(以下、部長)が福地さんにインタビューを行い、「不動産に関する疑問」を紐解いていきます。

もともと不動産の勉強をされている方はもちろん、「不動産に興味はあるけど、難しそう…」「学び方、調べ方が分からない…」という方でも楽しく学べる内容になっておりますのでぜひぜひみなさん読んでみてくださいね😊

さて、記念すべき第1回のテーマは、「不動産売却時の査定について」です。

先日行ったオンラインイベント「売却講座〜マンション相場編〜」を受講した部長が、更に詳しく知りたいことについて、福地さんに質問していきます。

目次

家の査定、どんな方法があるの?

査定の基準はなんだろう?

戸建ての査定はマンションと違うの?

査定金額」と「売出金額」の違いって?

まとめ

家の査定、どんな方法があるの?

売却講座を受けてみて、査定金額の決め方に興味を持ったので、詳しくお聞きしたいです。改めて、マンションの場合、今住んでる部屋を売りたいと思ったら、どういう流れで査定されるんでしょうか?

お部屋を見せていただく前におおよその価格を知りたいというのであれば、机上査定という方法で査定額を算出します。机上査定とは、宅建業者が事務所の机上(主にPC上)で登録されているデータを検索および精査しながら査定価格を算出する方法です。
ある程度の規模のマンションですとマンション名からデータを抽出する事が可能です。

机上査定の他にも種類があるんですか?

そうですね。他に、実際に中を見せてもらう実査定という方法があります。
マンションの場合、購入してから特段リフォームをしていなければ、どれくらいの期間住んでいるかである程度の想定が可能です。実際に見てみないと分からない要素もあるので、最終的には室内を確認しますが、机上査定と実査定でほぼ同じ査定額が算出されることが多いです。

マンションの場合、机上査定と実査定で、今までに差があったのはどういうケースでしたか?その時はどれくらいの差が出たのでしょうか?

室内の保守状況があまり良くなかったケースでしょうかね。表面的なリフォームで済むかどうかによっても変わってきます。壁紙を変えるくらいであれば、そこまで費用がかかるわけではなく、コストが数十万円程度なので大きな影響はないのですが…

なるほど。ではマンションの場合は、設備が壊れているなどのよほどの状況でなければ、机上査定と実査定でそれほど差が出ないということなんですね。

査定の基準はなんだろう?

机上査定で査定金額を算出する場合、価格はどうやって決めるのでしょうか?基準になるものを教えてほしいです。

最近大きなポイントとなっているのが、駅距離、広さ、築年数といった要素です。購入を検討している人が特に着目する部分でもありますね。

通勤する人にとっては駅からの距離を気にされますし、「もっと広いところに住みたい」という動機で物件の購入を考える方が多いので、広さや間取りも重要です。

最近だとリノベーションもかなり行われていますが、新しい物件の方がいい設備をつかっているので、「新しい物件のほうが長くもつだろうな」という感覚があります。
そのほかの条件でいうと階数、道路付けなども関わってきますね。

エリア、広さ、築年数がわかれば、大体の金額を予想できるのでしょうか?

そうですね、ある程度はわかります。
ちなみに、元住吉は駅の西側と東側で違う相場が形成されているので、その違いも加味しつつ決めていく形になります。

戸建ての査定はマンションと違うの?

戸建てを査定する場合、マンションとの違いはありますか??

マンションの場合だと、建てる会社や築年数などからおおよその状態を予測することができるのですが、戸建てではそれができません
物件ごとの個別的な要素、例えば「どんな場所にどんな風に建てられたか」「持ち主がどのように使ったか」などの違いで経年変化の仕方が大きく変わってくるためです。
物件の築年数や素材を聞いたとしても、どんな状態なのかは実際見るまではわかりません

例えば、南向きと聞いて机上査定した後、実物を見たら全然日が当たっていないので査定額を下げる、ということもありえますか?

ありえます。南向きの価値は日当たりの良さにあるので、それがないとなると査定額は大分変わってしまいます。戸建ての場合、周りの建物の影響が大きいという特徴がありますね。
また、将来の建て替えを視野に入れなければならないというところも、戸建ての査定を難しくしている要素です。例えば、道路付けとか。

道路付けっていうのは、敷地に対して道路がどうついてるかってことですよね?

そうです。家の前面が接してる道路の幅や、間口(何メートル接しているか)によって建てられる建物の大きさが変わってくるし、最低条件を満たしてないとそもそも建て替えができないんです。

建て替えはできるとしても、例えば重機が入れないような土地だと査定額が安くなったりするんですか?

道路には十分接しているけれども階段状になっていたりする場合も、価格に反映されます。

あとは、配管関係も悩ましいところです。前面の道路から直接自分の敷地に入っているならいいのですが、他人の敷地を通っていたり、逆に自分の敷地に他人の配管が入っていたりする場合もあるんです。そういうケースはあとあとトラブルになりやすいため、注意が必要です。

査定するときは配管なども調べるんですか?

はい。机上の場合は簡単に調べるだけのこともありますが…

実査定では必ず調査するんですね?

そうですね。やっておかないと怖いです。査定額に影響するのはもちろん、販売を視野に入れると、その時に伝えるべきことをあらかじめ知っておく必要があるので、必ず確認します。

戸建てのほうが複雑に色々な要素が絡んでいるのですね。

築年数によっても違いますけどね。築5年くらいで、新築時の価格が分かっていて資料もそろっている物件なら、そこまで大きく条件は変わっていないと思われるので、比較的金額を出しやすいです。

査定金額」と「売出金額」の違いって?

戸建てでもマンションでも、査定額が出たら必ずその査定額で売り出さなきゃいけないんでしょうか?

結論から言うと、査定額やこちらが提案した売り出し価格に必ず従う必要はありません。最終的な決定権は所有者の方にあるので、その方に決めてもらう形になります。

査定額と売出価格は同じ価格なことが多いんですか?

査定額に10%くらい上乗せした金額で売出価格を提案することが多いです。もっと上乗せしたり、査定額自体をもっと高く出すような会社もあります。

逆に、売れなさそうだから査定額よりも下げて売り出す、というパターンもありますか? 

ありますね。持ち主の方がどうしても早く売りたいケースなどでは、下げた価格でやってみることもあります。

査定額はあくまで参考値。販売する価格は売主に決定権があるということですね。

そうです。不動産会社側の自由もあるので、あまり逸脱した価格で出そうとしている方に対しては、「うちはちょっと難しいです…」と断ることも、原則的には可能です。それでも大体お預かりするとは思うのですが。

例えば、査定金額が2000万円で出たけど、所有者の方が「いや、4000万で売りたい!」と言っている物件を預かるのは難しいってことですか?

それでもおそらく預かるとは思うんですけど。

いつかはちゃんと売るけど、一回チャレンジしてみたい!という方であれば、状況を見てだんだん下げていく感じでしょうかね。「全然案内も入ってないです」と提案するとか…うーん、どうするんだろう。

福地さんならどうしますか?

もしかしたら…もあり得るので、預かりますかね。

不動産業者側からお断りするのって難しいのかもしれないですね。

物件をお預かりすると、それ自体が広告になるというか、お客さんが来るきっかけを作ってくれるので、どこの不動産会社にも「たくさん預かりたい」という気持ちは共通してあるんじゃないかと思います。

その物件の広告自体が宣伝になる、と。

その物件が売れなくても、広告を見て問い合わせしたお客さんが他の物件を買えば、収益にはなりますし…たくさん問い合わせがある物件なら、なかなか売れなくても預かっていたいと感じる方もいるかもしれません。

それはちょっと怖いところでもありますよね。売れないことに対して「大丈夫です!」と言われて、「頑張って営業してくれているんだな」と思っていたら、問い合わせが多いから不動産会社にとって利益になっていた、とか…

実際は売れなくても、そのまま預かり続け得たほうがありがたいということもあり得るのかな、と。

とはいえ、通常は反応が悪いと提案して売却を進める方向に持っていきますけどね。かつて大手の不動産会社にいた時もそうでした。

価格の裏話、みたいなことも聞けて興味深かったです。ありがとうございました!

査定価格についてのまとめ

・不動産を査定する場合、机上査定と実査定の2種類の方法がある。

机上査定は、条件などからおよその査定金額を算出する方法で、実査定は実際にその物件を見て査定金額を算出する方法である。

・査定額を決めるにあたって重要なのは、駅距離、広さ、築年数といった要素。そのほか、階数、道路付け、エリアごとの相場観を加味して算出する。

・マンションの場合、施工会社や築年数からおおよその金額を予測できる。

一方戸建ての場合、物件ごとの個別的要素が強いため、より複雑な要素を読み取って査定金額を算出する必要がある。

・不動産会社が出す査定金額と、実際に売り出すときの価格は必ずしも一致しない。

売出価格の決定権はオーナーにあるため、査定金額より高い、もしくは低い金額で出すことが可能である。