元住吉の建築士さんに「家を建てること」について聞いてみました

建築する建物の種類や、事務所のスタンスによっても取り組む内容が変わってきますが、うちの事務所で戸建てを手がける場合、建物の設計から引き渡しまでの間、お客様に伴走して理想の家づくりをサポートする仕事、と言えるかと思います。

はじめに、お客様のご要望と敷地の条件を確認し、提案書を作成します。

何度も打ち合わせを重ねながら、お客様の希望を叶える設計を作り上げ、工事着手後には、お客様の代理人として設計図面どおりに施工がなされているかの監理も行います。建物が完成したら、問題がないことを検査確認の上引き渡す、という流れです。

更に、お引渡しから約1年後に不具合がないかの検査を行い、それ以降にメンテナンスが必要になった場合のサポートもさせていただいております。

「家の快適さ」と一口に言っても、人によってその中身は全く違います。したがって、お客様の話を丁寧に伺い、お客様の「その家でどんな生活を送りたいのか？」という想いを紐解いていくことが非常に重要です。

実際に敷地に行って想像を膨らませてもらったり、模型を作ってよりリアルな感覚を確かめていただいたり…打ち合わせを何度も重ねながら、お客様にぴったりくる家を一緒に作り上げていくという過程が必要になります。

傾斜地や狭小地などの条件が限られた土地である場合、残念ながら全ての要望を叶えられないこともあります。それが判明した時に、最大限希望を叶えるためにどれだけのアイディアを出せるか・工夫を凝らせるか？といったところが、建築士の腕の見せ所なんですよね。

採算のことだけを考えたら、確かにもっと手間も時間も省いたほうがいいんでしょうね。
でも、お客様に納得感をもって喜んでもらうために、しっかりと役割を果たしたいという気持ちが強いんです。

個人的に、家は”売り物”ではなく、”仕立てるもの”だという考えを持っていまして。
服の職人さんが、その人の身体にピッタリくる生地を選んだり、型をつくったりするように、家も、何度も何度も打ち合わせして理想に近づけていく、という過程を経ることが大切だと思っているんです。

可能であれば、土地選びの時点から専門家のアドバイスをもらうことがオススメです。その土地の形状やインフラの状況などによって、どうしてもできること・できないことがありますが、それを一般の方が見極めることはほぼ不可能に近い。

いざ購入して、希望を伝えた時に「この設計は難しいです」となってしまうと、本当にもったいないので…
あとは、家をつくる過程そのものも、ぜひ楽しんでいただきたいですね。ワクワクしながら想像を膨らませること、悩んだりがっかりしてしまうことも、そのすべてが大切な経験になるんです。

そういった「家づくり」という経験そのものがいい思い出になるよう、精一杯お力添えしていきたい、というのが私の願いです。