みなさんこんにちは、タンジです^^
広報部長(以下、部長)が福地さんにインタビューを行い、不動産に関する疑問を紐解くシリーズ、「店主福地に聞く!不動産知識あれこれ」。
第4回のテーマは、「不動産売却時の戦略の立て方」です。
自宅を売却することになったとき、どんなことを心掛けると売れやすいのか?について、広報部長が店主福地に質問してみました。
目次
物件の特徴を列挙しよう!
不動産の売却にあたって、戦略を立てて広報活動を進めていくことになるかと思います。どんな流れで戦略を練っていくのか、教えてください。
ざっくりと大枠でいえば、
「その物件の特徴を挙げる→広告の軸を決める→軸に沿った形の写真・文章を用意する→広告媒体に掲載する」
です。
広告活動に一貫性がないと、だれにも魅力的に映らなくなってしまうので、まずはしっかりとした軸を作ることが大切です。
軸を決めるために必要なのが、「特徴を挙げる」という工程なのでしょうか。
そうです。どんな人に興味を持ってもらえそうな物件なのかを判断するためには、物件の特徴の把握は欠かせません。
より細かく明確にするほど、物件の「推しポイント」も見えやすくなるので、ここは手を抜かずに取り組みたいところです。
挙げた特徴を俯瞰して、「こんな特徴が、こんな特性の人に刺さりそうだな」を判断するのでしょうか。
そうです。特徴を挙げたあと、「どんなところがどんな人にいいと思ってもらえそうな物件なのか」について、複数人で話し合えると更に良いと思います。何を魅力と感じるかは人によって違いますし、いろんな視点から見ることによって、1人で見ているときに気づけなかった魅力を発見できることもありますからね。
物件の「推しポイント」を決めるにあたって、物件の特徴を細かく把握することが必要な理由がよくわかりました。
でも、いざ「特徴を挙げてみよう」となったら、なかなか思いつかなさそうです。考える時のコツのようなものはありますか?
いくつか項目を設定して、それに沿って考えていくと見つけやすいかと思います。
代表例を挙げるとすると、
・環境(景観や静けさなど)
・交通アクセス(路線、駅からの歩いた時の所要時間、高速道路へのアクセスなど)
・近所のお店の状況
・間取り/広さ
・そのお部屋特有のポイント(他にはなく、珍しい設備など)
・共用設備(マンションの場合)
といったところでしょうか。
「家を買おう」となった時に自分がチェックするポイントはどこだろう?を考えて、それに沿って考えてみてもいいですね。
キャッチコピーをつくり、統一感を持たせる
「物件の特徴を挙げる」の次は、「広告の軸を決める」ですね。具体的にはどのような作業なのでしょうか。
ひとことで言えば、「ターゲットを決めて、相手に魅力的と感じてもらえそうなキャッチコピーをつくり、それに沿った形で広告活動を展開する」というものです。
先ほど「広告活動には一貫性が必要」ということをおっしゃっていましたね。一貫性を持たせるためのベースになるものをまず作るのですね。
そうです。広告を魅力的に感じてもらうためには、「この物件なら、自分の理想とする生活ができそうだ」と思ってもらうことが必要なんですね。
そのため、挙げていった特徴から「どんなメリットがあり、どんな人が『欲しい』と感じてくれそうな物件なのか」を読み取り、ターゲットとキャッチコピーを決定します。
そして、推しポイントを3つくらいに絞って、キャッチコピーに沿うように文章や写真を使って広告を作ります。
推しポイントをとにかくたくさん盛り込めばいいというものではないんですね。
たくさん詰め込みすぎると、どんな特徴がある物件なのか見えにくくなりますし、なにを言いたい広告なのかも分からなくなってしまうんですよね。したがって、キャッチコピーに沿わない要素を思い切って省く勇気も必要なんです。
マンションの場合、新築分譲時に使われていたキャッチコピーがあると思うのですが、それを参考にする場合もありますか?
あります。ただ、新築当時と売りに出す時では、環境も「よしとされる要素」も変わっている可能性があるので、その時点でのメリットをしっかり把握したうえで、使うかどうかを決める必要があります。
写真をとるときに押さえておきたいポイント
広告には写真が欠かせませんが、載っている写真が物件の最初の印象を決めると言っても過言ではないと思います。いい印象を与える写真をとるためには、どんなことに気をつければよいのでしょうか。
大切なポイントは、
①明るく映るように工夫する、②撮る角度を選ぶ、③荷物をある程度片付けてから撮る、④推しポイントが分かる写真を必ず撮る
の4つです。
それぞれ具体的な方法について伺いたいです。お部屋が明るく映るようにするためには、どんな工夫ができるんでしょうか。
お部屋に一番日の光が差し込む時間を狙う、というのが一番簡単で効果的な方法です。窓のある方角によって明るい時間帯が変わってくるので、それぞれの部屋で最も明るい時間帯を選んで撮影するといいと思います。
撮る角度を選ぶのも、明るく映るようにするためですか?
それももちろんありますが、撮る角度によってお部屋の広さや開放感が全く違って感じられるからです。開放感があってゆったりとしたお部屋でも、撮る角度を間違えればその良さが伝わらなくなってしまいます。したがって、お部屋のどの位置からとるのか、どの高さからとるのか、いろんなパターンで撮って検証してみるといいと思います。今だったら、ドローンや3D撮影を使うという手もありますね。いろいろ撮った中で一番いい印象のものを広告に採用しましょう。
荷物をある程度片付けてから撮る、とありますが、全部片付ける必要はないのでしょうか。
荷物が何もないと殺風景になりますし、ある程度モノがあったほうが買った後の生活もイメージしやすいので、ほどほどに片付ける程度で大丈夫です。
あまりにも生活感が溢れていると印象が悪くなってしまうので、お部屋がごちゃごちゃしているなら、ある程度別の部屋にモノを移動させてから撮影するといいでしょう。
推しポイントを伝える写真というのは、「2」で決めたキャッチコピーに沿った写真ということでしょうか?
そうです。写真のもつ説得力は大きいので、キャッチコピーのとおりだと分かる写真を盛り込めると、広告の説得力もぐっと高まるんです。
内見時の印象をアップするコツ
広告からはすこし話がそれますが、居住中に見学が行われる場合に気を付けるべきポイントがあるという話を聞いたことがあります。どんなことに気を付ける必要があるのでしょうか?
まず大切なのは、玄関の扉を開けた瞬間にいい印象を持ってもらえるようにすることです。
購入者は扉を開けて数秒のうちに購入するかどうかを判断していると言われています。最初の段階で気分が落ちてしまうと、そこからイメージを回復するのは難しくなります。
具体的にどんなことをすると印象アップにつながりますか?
玄関だけでなく住居全体に言えることですが、やはり「明るさ」と「清潔感」がカギになります。
あらかじめ玄関や廊下の照明を着けておく、暗くなりがちな部屋ならスタンドライトを使用するなどして、「暗いなあ」と感じさせないような工夫をするといいと思います。
それから、もちろん来てもらう時間は見学者次第なのですが、どの時間帯がよりいい印象を持たれやすいかを把握しておくのも大切ですね。
写真撮影時だけでなく、内見時にも明るさは大切なのですね。
清潔感というと、モノを片付ける・掃除するくらいしか思い浮かばないのですが、他に何かできることはありますか?
細かい話ですが、洗濯物が目に触れないようにするのが結構大切だったりします。洗濯物が干してあったりすると、どうしても生活感を感じさせやすいので…
対策方法としては、見学者の方が来るときに合わせて洗濯機を回してしまうのもひとつの手ですね。
あとは、状態によってはあらかじめ壁紙を張り替える・業者に水回りのクリーニングを頼むなどしたほうがいいケースもあります。汚れや経年劣化が見えやすく、目にもとまりやすい場所です。お金がかかる話ではありますが、これをすることによって売れる値段が大きく変わることもあるんです。
あらかじめ少し手をいれておいたほうがいい場合もあるのですね。
ちなみに、居住中の見学で「収納を見せてほしい」と言われることは多いですか?
見せてほしいと言われることのほうが多い印象です。ですので、可能なら収納の中も見せられる状態に片付けておくことをおすすめします。
それが無理なら、一旦荷物を取り出した時の様子を写真におさめ、お願いされたらその写真を見せる、という形をとれるといいですね。
居住中の見学ならではの難しさや、それをカバーするために工夫していることはありますか?
見学者の方が遠慮してしまい、本当は見たいところなのに「見せて」の言葉を飲み込んでしまっているケースが多いように感じます。気になるところが残っているままではなかなか判断もできないですし、後々違和感につながることもあるので、不動産業者のほうで配慮して見学を進めていくことが大切です。
あとは、その場で見学者だけで話し合える時間も設けるようにしています。見学者同士で相談したことによって、更によく見たい部分が出てくることもありますので。
不動産売却の背景では、こんなにいろんなことが考えられていたんですね。
自分の家を売却することになった時、今回お聞きした内容を知っていれば、自分でもいろいろと工夫ができそうです。
ありがとうございました!
まとめ
・不動産を売却するにあたっては、
物件の特徴を挙げる→特徴を俯瞰して広報の軸を決める(推しポイント・ターゲットの決定)
という流れで広告戦略をたて、その軸に沿う写真・文章を用意し、統一感のある広告活動を行う。
・メリットを詰め込めばいいというものではない。いろいろ書きすぎると、どんな特徴を持っている物件なのかがぼやけてしまう。
「こんな特徴を持つこの物件なら、自分の理想とする生活ができそうだ」と感じてもらうためには、伝えたいポイントを3つくらいに絞り、具体的にイメージができるように構成していくとよい。
・写真撮影・見学時は、「明るさ」と「清潔感」が重要。殺風景にならない程度に、かつ生活感を感じさせ過ぎない程度に片付けておくのが吉。